特定支出控除を受けるため考えてみました①
今日は特定支出控除についてお話をします。
皆さんは、特定支出控除をご存知でしょうか。
聞き慣れない言葉で、初めての方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、この制度は、使える人には物凄くありがたいんですが、使い勝手がとても悪いんです。
よく個人事業主が経費で落とすって聞いたことがあると思いますが、これは所得を下げ、税金を少なくすることができるんです。
だけどサラリーマンには必要経費が認められていませんよね。
それに代わる制度として、サラリーマンにだけ認められた「給与所得控除」があります。
サラリーマンの必要経費分として、収入に応じて決まった額を控除することができます。
ただ、それだけじゃないんです。給与所得控除にプラスして、特定支出控除も可能なんです。
つまり、この制度はサラリーマンにとってありがたい制度ということになります。
特定支出控除の趣旨としては、給与所得控除という制度があるんですが、それを超えた経費の支出があった場合に、特定のケースだけは認めてあげる、というものなんです。
では、どのようなケースの支出が該当するでしょうか。
通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費)の6つです。
それぞれ簡単に説明します。
1 一般の通勤者として通常必要であると認めら
れる通勤のための支出(通勤費)
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認
められる支出(転居費)
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目
的として研修を受けるための支出(研修費)
4 職務に直接必要な資格を取得するための支出
(資格取得費)※平成25年分以後は、弁護士、
公認会計士、税理士などの資格取得費も特
定支出の対象となります。
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は
居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支
出(帰宅旅費)
6 次に掲げる支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なもの
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関
連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所に
おいて着用することが必要とされる衣服を
購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の
支払者の得意先、仕入先その他職務上関係
のある者に対する接待、供応、贈答その他
これらに類する行為のための支出(交際費
等)
どれも、普段から支出しているため、馴染みのある支出ばかりですよね。
また、この特定支出控除は、扶養控除や医療費控除とは違い、所得を押し下げる効果があるんです。具体的に説明した方がわかりやすいと思います。
所得とは、収入−給与所得控除で求めることができます。さらにこの所得から扶養控除や医療費控除を差し引くことで課税所得が算出されます。この特定支出控除は、所得の算出前で差し引くことができるんです。
収入−給与所得控除−特定支出控除=所得
所得−扶養控除−医療費控除=課税所得
課税所得×税率=所得税
所得前で差し引くことができる強みとして、所得制限が設けられている制度に対応できるということです。例えば、配偶者控除は所得制限があります。ボーダーラインぎりぎりの方は、この特定支出控除を使うことで所得を押し下げることが可能です。
つまり、この特定支出控除を使いこなすことができれば、本当におトクということです。
続きは明日書きます。