厚生年金保険料はこれから上がるのか④
前回の続きです。
財政検証では、経済前提が最良パターン、普通パターン、最悪パターンの3つが示されていました。そのパターンを少しばかり深掘りしていきます。
今日は、皆さんに知ってもらいたいこと、平たく言うと、"へぇ〜そうなの"って言うものをご紹介します。
経済成長や労働参加が高い水準で進む場合
このケースは1番うまくいった最良パターンです。所得代替率50%を維持しています。
ただリスクもあります。皆さんの年金保険料の一部は株式や債券などに投資されています。それらを積立金と呼んでいますが、その積立金が減少するリスクです。
財政検証では、2115年まで積立金から年金額を支払い、さらに一年間分の年金額が賄えるほどの積立金残高があるという試算となっています。
将来の積立金がどうなっているか誰にもわかりません。現在の年金制度が長期的に持続可能であることを確約しているわけではありません。
経済成長や労働参加が進まない場合
これは1番悲観的な最悪パターンです。
財政検証によると2115年のモデル世帯の年金給付額は、2019年度価格で19.1万円(基礎年金が10万円、厚生年金が9万円)になるとのことです。
これは、2019年に東京都23区に住む65歳~70歳の夫婦二人がもらえる生活保護費の18.3万円にほぼ近づいています。
「最低生活を保障する水準として設定」されている生活保護費ですから、厚生年金が、「最低生活を保障する水準」しか保証できなくなるということです。
これは辛いですね、毎月一生懸命納めた人と生活保護費が同じだなんて。あまり考えたくはないですね(^^;)
2019年度の所得代替率
話は変わり、では現在の所得代替率はどのくらいか。
2019年度のモデル世帯の所得代替率は61.7%のようです。もうひとつ、年金制度が出来てから1番美味しい思いをした世代は、昭和55年頃の年金受給者のようです。
夫のみの年金で、加入期間30年で所得代替率が68%あったようです。ホントに羨ましい限りです。
まとめ
みなさんから集めた年金保険料は、株式や債券などに運用して、その運用利回りで年金給付を行なっています。運用利回りの成績によっては、受給できる年金額が減少することも考えられます。
3つのパターンのうち、最悪なケースだと、生活保護費と同水準になる試算です。そうなってくると年金制度が崩壊したと言う論調が出てもおかしくありません。